健康寿命の延伸を目指して・・・
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。
高齢化が進む日本において、健康寿命を延ばし、平均寿命との差を少なくする(健康でない期間を短くする)ことは個人の生活の質(QOL)の向上や社会保障制度の維持にも重要であるとされています。
歯科治療、口腔ケアやリハビリテーションによって口腔機能を維持・回復することは「食べる」や「話す」といった機能だけでなく、生きる力やQOLの向上に寄与し、健康寿命を延ばすと言われています。
口腔機能を維持・回復し、健康で幸福な人生を送りましょう!
オーラルフレイルと口腔機能低下症
オーラルフレイルとは?
フレイル(虚弱)とは健康な状態と要介護状態の中間で、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと指します。
一方、オーラルフレイルとは、「口のフレイル」のことで、健康な状態(健口)と「口の機能低下」との間にある状態で、噛めない食品が増える、わずかなむせ、食べこぼしや滑舌の低下といった、ささいな口の機能の衰えが重なり、口の機能低下の危険性が増加した状態のことを指します。
オーラルフレイルは進行すると口の機能低下(口腔機能低下症)を引き起こし、全身のフレイル、サルコペニア(筋肉減弱)や低栄養を引き起こすと考えられています。
さらに、フレイルやオーラルフレイルは身体的問題のみならず、気持ちの落ち込み、うつや認知機能障害などの精神・心理的問題、独居や社会とのつながり、経済的困窮などの社会的問題なども引き起こします。
そして、フレイルやオーラルフレイルのこのような多面的な側面は相互に影響し合い、生活機能障害や死亡などに至る負の連鎖を起こしているとされます。
フレイルおよびオーラルフレイルは、誰もが自然に起こる老化による機能低下と異なり、予防や機能訓練などの対策を取ることで進行を防いだり(機能維持)、健康な状態に戻ることができる(可逆的)という特徴があります。
一旦、寝たきりや機能障害を起こしてしまうと健康な状態に回復することは困難といわれており、フレイルおよびオーラルフレイルで食い止めることは健康寿命を延ばすうえで重要と考えられています。
また、オーラルフレイルは全身のフレイルに先行して起こると言われています。そのため、口のささいな衰えに気が付いたら対処をする必要があります。
口腔機能低下症
加齢、疾患や障害など様々な要因によって口の機能が低下している「疾患」を口腔機能低下症と言います。
オーラルフレイルが進行し、検査で口の機能低下が客観的にわかる状態になると口腔機能低下症となります。
つまり、口腔機能低下症は検査結果に基づいて診断される病気の名前となります。
口腔機能低下症は、60代で60%、70代で80%、80代以上はほとんどの人が口腔機能低下症であるという報告もあります。
口腔機能低下症の診断は口腔機能精密検査によって行われます。
口腔機能精密検査
口腔機能精密検査は7項目の検査からなります。
①口腔衛生状態不良 お口の清掃状態の検査
②口腔乾燥 口が乾いているかの検査
③咬合力低下 噛む力の検査
④舌口唇運動機能低下 活舌の検査
⑤低舌圧 舌の力の検査
⑥咀嚼機能低下 良く噛めているかの検査
⑦嚥下機能低下 飲み込みの検査
7項目中3項目以上該当で口腔機能低下症となります。
口腔機能精密検査の対象は50歳以上または全身的な疾患により口腔機能低下を認める方となります。
*保険適応
口腔リハビリテーション
口腔機能低下症と診断された場合、必要な処置やリハビリテーションを行います。
*保険適応
*保湿ジェルや訓練器具の購入には別途費用が掛かります。
例)口腔乾燥:唾液腺マッサージ、保湿ジェルの使用
咀嚼機能低下:義歯新製
舌口唇運動機能低下:パタカラ体操、舌圧訓練(舌の体操、器具を用いたトレーニング)
訪問歯科診療
一般的に歯科治療は外来で行われることが多く、歯科受診は70~74歳をピークに、その後減少するといわれております。
歯科治療、口腔ケアやリハビリテーションによって口腔機能を維持することは「食べる」や「話す」といった機能だけでなく、生きる力やQOLの向上に寄与するとされています。
歯医者に行けないから・・・と諦める前に、一度ご相談ください。
訪問歯科診療とは?
訪問歯科診療とは、歯科医院へ通院することが困難な方のために、歯科医師や歯科衛生士がご自宅や施設などに訪問して、治療計画のもと、継続的な診療を行うことです。
往診との違いは往診が応急処置的なものに対し、訪問歯科診療は継続的、計画的に行うものであることです。
訪問歯科診療の条件
訪問歯科診療は以下の条件を満たした方が対象となります。
・疾病・傷病による通院困難者
・当院から半径16km以内に居住の方
訪問歯科診療でできること
患者様の全身状態や口腔内状態などによってできる診療は異なりますが、一般的には以下のようなことを行うことができます。
・歯科治療 むし歯・歯周病治療、入れ歯治療(製作・調整・修理)
・口腔ケア 口腔内の清掃、本人および口腔ケア担当者への口腔ケア方法の指導
・リハビリテーション 口腔機能精密検査、各種リハビリ(在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理)
*基本的に健康保険を適用することができます
入れ歯(口腔機能回復)
マグネットオーバーデンチャー
磁石を入れ歯に組み込み、口の中に設置した金属の土台と磁力でくっつくことで維持力を発揮します。歯周病で弱った歯にも使用でき、通常の総入れ歯よりも高い維持力を得ることが出来ます。また部分入れ歯では、前歯にかける金属のバネの代わりになるため審美性にも優れます。
費用(自由診療): 50000円(税別)(一装置あたり)
*マグネット部分のみの価格となります。実際に義歯を新製する場合、設計に応じて別途費用が掛かります。
*保険適応可能な場合もございます。
ノンメタルクラスプデンチャー(スマートデンチャー)
金属のバネがないため審美性に優れた入れ歯です。
費用(自由診療): 設計により様々